お掃除の大切さを教えてもらった日本一の名旅館「加賀屋」さんでの出来事

由紀子の日々

「なんとか今日終わったね」今日は岐阜の山本呉服店のお掃除最終日でした。3店舗をそれぞれ1日づつ、その上広いので全員でやっても3日半はかかります。毎年恒例12月の一大行事です。

 

お掃除の重要性は言うまでもないことです。

きれいな店舗には良い空気が流れ、お客様にも気持ちよく過ごしていただけます。

そして店舗が痛みません。

 

池田店は建ててから32年、北方店も20年になりますが、それほど経っているとは思えないはずです。

 

掃除の大切さを実感した出来事がありました。

日本一の名旅館と言われる和倉の「加賀屋」さんへ泊まったときのことです。廊下で食事をカートで運んでいた中居さんとお客様がぶつかってしまい、廊下の絨毯に汁物が飛び散りました。中居さんはお客様が火傷をされなかったかを気遣い、汚れた浴衣を着替えていただくよう真っ先に手配をしていらっしゃいました。食事のカートは一旦厨房に戻されました。

 

私もその場を去ったのですが、お客様が誰もいなくなったのを見計らって3名の中居さんがバケツに雑巾、洗剤やお掃除道具などプロ仕様のものと思われるキットを物々しいほど持ってきて、あっという間にシミひとつなく綺麗にしてしまわれたのです。その速さは素晴らしく、何事もなかったように去って行かれました。こぼれた現場を見ていた私はあっけにとられて、呆然としました。

 

加賀屋さんではそれが当たり前になっているのでしょう。

 

付いたシミをそのままにしておけば、浸み付いてしまいます。すぐにメンテナンスすれば、シミは落としやすいです。旅館が古びてくたびれた感じがするのはじゅうたんや畳、壁に誰かがつけたシミがだんだんに蓄積されていくからでしょう。古い旅館や古い部屋は宿泊料がどんどん安くなってしまいます。

それをきれいにしようと思えば、何百万何千万かけてリフォームするしかありません。

 

日頃から汚れないようにする、徹底的に掃除することは経営の上から見ても無駄でないどころか最も大きな経費節減です。

 

 

未だにあの時の加賀屋さんの光景を思い出します。

毎年、大掃除の初日には朝礼でその意味を確認し、全員で心を込めてきれいにすることにしています。

そうすることによって全員が日頃から汚さないように、汚れてもすぐにメンテナンスする気持ちが続きます。

 

 

ところで、私は今日どうしても整形外科へ毎月の薬をもらいに行きたかったので、スタッフに頼んでお昼早めに抜けさせてもらいました。

 

つづく

 

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山本由紀子

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明治創業、岐阜の山本呉服店に生まれ着物に囲まれて育つ。大学時代を京都の親戚で過ごし金沢の呉服屋さんで勤め山本呉服店入社、代表取締役。雑誌商業界などで「売らず...

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