町家の「もう必要なくなった」機能性と「これから注目される」情緒的価値☆新たな価値を見出す
「京都の町家は消滅するでしょう」
えーー!
久しぶりに伺った古武さんの顔を、思わず見返してしまいました。
古武博司さんは京都の町屋の研究者では第一人者で、ご自身も西陣の築280年の町家に住まわれて、そこを拠点に町家保存の活動をしていらっしゃいます。手作りで町家の模型を作ったり、地図で説明したり、とてもわかりやすく説明してくださるので、感動してしまいます。同志社大学で教えたり国内外の建築士や研修者がこの町家を訪れています。
本来、町家というのは表で生活し、土間で台所をしてその通路を通って、中庭のさらに奥の建物で仕事をしていました。西陣などの機織りはこの裏の建物でなされていて新しい衣裳の秘密保持がなされてきたのです。
町家の発達した機能性を考えれば、新たに作る意味はなく、林業や建築技術がなくなり修復にさえ大変な費用がかかる町家は維持していくだけで精一杯なのです。まして新しく建築するとすれば、莫大な費用がかかります。
「今ある町家を維持していくだけで精一杯でしょうな〜」
最も保存しようとしていらっしゃる立場の思いがけない古武さんの言葉に一瞬絶望的な気持ちになりました。
でも本来の意味ではない利用の仕方もあるはずです。
左の脳で考える機能面で生き残こる道はないとしても右の脳で感じる感性とか情緒ではますます町家の良さがこれから求められるのではないでしょうか。
私も町家に住んで、冬は冷え込みます。町家は夏仕様でできているからです。ガラス戸や障子は察しほど機密性が弱く寒いです。
でも、不思議と落ち着くんです。
機能性とか効率とかからすればナンセンスなのですが、そういった観点では得られないものです。
「同志社大学へ行ってどんな講義をしても理解できないので、私の講義の時間はここへ来てもらうことにしてます。何も言わなくても、学生さんたちはこれですね〜と感じて帰ってくれはります。説明なんかいりまへん。」
町家の良さは説明するものではなく、感じるものだと思いました。
京都の室町通りは全国屈指の呉服の問屋街ですが、次々とホテルやマンションに建て替わってしまいました。新たに建てることは困難なのを考えると今ある町家は何とか残して欲しいと願うばかりです。
それには今を生きる人たちが価値と感じられる切り口を真剣に見出さなくてはならないと思います。
それは着物も同じでしょう。
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